Higurashi 2
裸足のまま駆け抜けた
焼けた
アスファルトの
上を
お母さん
お父さん
どこどこ?
どこいるの?
いつまで走っても
変わらない風景
鼻につく
妙なにおい
当初目標だった
私の実家は
この先の
角を
左に曲がったところ
角の木は
折れずに燃えずに
耐えていた
彼女は期待を込めて
角を曲がったけれど
彼女の家があるはずのところには
なにもなかった
トントン
・・ん?
「お客さん?降りなくて良いんですか?」
誰も乗ってない
バスは
田んぼのあぜ道の
ところで
アイドリングしていた
最もこんな
田舎のバスは
本数も少ないし
住人の総数からしても
利用する人は少ないだろう
「ああ、すいません、どれくらい
止まっていてくれたんですか」
懐の小銭を探りながら運転席に
戻る運転手の背中に話しかけた
「うーん、五分くらいかな
いつもだったら過ぎるけどさ
あんたの顔は覚えてたからね
降ろさなければいけないって
わかったよ、あんた
気持ちよさそうに寝てたよ」
運転手はハザードランプを
確認して
小銭を受け取った
「ありがとうございます
つい、心地よくて」
男は軽く頭を下げ
バスを降りた
バスはガタガタと
年季の入った音を立てながら
あぜ道の彼方へ消えていった
男はそれを見送って
あぜ道にある
ボロいバス停の横にある
小さなわき道に入っていった
ちょっと小高い丘に
たたずむ
手製の板で作られた
墓
そこに骨は埋められていない
思い出・記憶だけが
そこにとどまっている
男は
胸ポケットから
チョコレートを
取り出して
一口食べた
「まだ、、溶けてない、よかった」
男はつぶやくと
残りのチョコレートを
墓前に供え
座り込んだ
小高い丘にある
その墓は
大きな
木の下にある
涼しい風が吹くその丘に
男は座って
思いをめぐらした
「久しぶり、母さん」
甘いものを嗅ぎつけた
小さいアリを見つめて
男はつぶやいた

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